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2020.10.16

【思考の整理学】

 「思考の整理学」の最初に書かれているのは、「グライダー」という題の文です。

 評論家、エッセイストの外山 滋比古さんが7月30日、96歳で死去しました。 著書である「思考の整理学」は、刊行から34年経過したにもかかわらず、東大生・京大生が根強く支持する異例のベスト&ロングセラーになっています。 何故、これほどまでに読み続けられるのでしょうか?

 「思考の整理学」の最初に書かれているのは、「グライダー」という題の文です。 その中にこんな事が書かれています。「学校の生徒は、先生と教科書にひっぱられて勉強する。自学自習という言葉こそあるけれども、独力で知識を得るものではない。いわばグライダーのようなものだ。自力で飛び上がることはできない。学校はグライダー人間の訓練所である。飛行機人間は作らない。優等生はグライダーとして優秀なのである」。

 投じた資本や労力の増加により生産高は増加するが、ある限界に達すると生産だ伸びなくなっていく現象を「収穫逓減の法則」と言います。 「すてる」という題の文では、「似たことが知識の習得についても見られるように思われる。はじめは勉強すればするほど知識の量も増大して効率があがるが、かなり精通してくると、壁に突き当たる。はじめのころのような新鮮な好奇心が失われる。

 二十年、三十年とひとつのことに打ち込んでいる人が、そのわりには目覚ましい成果をあげないことがあるのは、収穫逓減を示している証拠である。 知識ははじめのうちこそ、多々益々弁ず、であるけれども、飽和状態に達したら、逆の原理、削り落とし、精選の原理を発動させなくてはならない。 つまり、整理が必要になる。はじめはプラスに作用した原理が、ある点から逆効果になる。そういうことがいろいろなところで起こるが、これに気付かぬ人は、それだけで失敗する」。

 本書は、グライダー人間として育てられた学生が、社会に出てグライダー兼飛行機人間としての生き方を求められたとき、様々な人の考え方を知るための一つの指針になるのではないでしょうか。